介助方法について、どっちを選択していきますか?

どっちが正しい?
利用者様の身体介護をするときに、現場ではいろんな意見が飛び交います。
ここでひとつ一例を紹介したいと思います。

(例)
年齢80代の女性 コミュニケーション能力もあり、説明したことはほとんど理解できる方です。
日中は、車いすで生活をされている方で、歩行が困難である。
立位動作や立位保持は、前方に介助バーや、手すりがあれば可能な方で、2〜3歩なら足の運びがあるが、膝が屈曲しているため 臀部が下がった状態で、移乗動作を行う。
さて、車いすからベッドやトイレの便座への移乗動作においては、あなたならどちらを選択しますか?
ベッドで座る高齢者
A.足の運びもできることから、本人の筋力低下を考えて、職員は後方からサポートしていく。
B.常に正面からの介助が理想で、前方から抱え込むようにして、職員は立ち上がりのサポートをする。
これだけの情報で、ハッキリと判断することは難しいと思われますが、
私は後者のBを選択します。
Aの場合だと、自分の力を使用され、立ち上がっているようにみえますし、本人の能力から考えても
「自分でできるところはやってもらう」が基本的な考え方として正しいようにも思われます。
「ズボンを引き上げるようにしているから大丈夫」と考える職員も少なくありません。

しかし、安全面で考えてみてはいかがでしょうか?
介助している職員は利用者様の後方に位置することで、前方の視野が狭くなり、腕や足元の注意ができなくなりがちです。
また、確かに自分の力で足を運んでいるかもしれませんが、果たしてそれが筋力低下を考えたサポートなのでしょうか?
立ち上がりや、足の運びが悪くなるのは筋力低下が原因なのでしょうか?
例えば、体重が30kg台やせ細った高齢者が、自分の足で歩いたり、立ち上がったりできませんか?
その方って、かなり筋力低下されているのに歩いている?不思議じゃないですか??
この方の場合だと、立位動作の重心移動に問題が生じていることも考えられます。
改善すべき点としては、前方に重心を移動しながら、膝を伸ばして立ち上がる動作の習得が望ましいのではないでしょうか?

移乗動作
もしかすると、この方は膝関節症など、膝に強い痛みが発生し、大きな負担を抱えて加重することに抵抗があり このような移乗動作になったのではないでしょうか?
そのような場合だと、できるだけ負荷をかけないような移乗動作の方法を選択します。
立ち上がる際に、身体の重心移動がなく、掴まえた手すりを腕の力で引き寄せるように立っていたことはないでしょうか?
いずれにしても、年齢や認知面でも低下してきた方へ習得能力は難しく、私なら前方から介助することで、手前に引き寄せるように 重心移動を促し、膝の伸展を意識します。
ベッド柵や、車いすのフットレストなど身体の接触がないように、周囲の状況を確認しながら、ドスンと高い位置から座ると 圧迫骨折の危険性もあるので着座の瞬間まで気を配ることが必要ではないかと考えます。

介助動作ひとつとっても、
リハビリ要素を組み込みながら行うことで、これまで使用されていなかった部分を呼び起こし、 残存機能を活かすことになるのではないでしょうか?介助方法によっては、膝関節の拘縮防止にもつながります。
医療や介護の現場では、筋力低下という言葉だけが独り歩きして、それをあたかも正論のように話されることに 私には疑問に思われて仕方ありません。
私達日々草では、介護現場での介助方法の一つ一つを互いに確認しながら、職員と技術を向上するように話が行われています。


デイサービス 管理者 宮城 力